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2020年07月01日

【情報の大量生産大量消費】Yahooジオシティーズの閉鎖と歴史になりつつあるインターネット

消えゆくインターネットの歴史。かつての集合知の理念はどこへ?

 

 今から一年ほど前、2019年3月31日にYahooの運用するウェブサイト作成サービス「Yahooジオシティーズ」がサービスを終了した。当サービスは、一昔前のインターネットにおいて盛んに利用され、今では姿を消しつつあるFlashコンテンツや、豊富な研究や資料を集めた個人サイトも多くあり、そのサービスを終了にともなう多くの価値あるサイトの消失は多くの人々に惜しまれた。筆者もこのブログにて、面白いサイト紹介と称し、いろいろなサイトをこのブログに訪れた人に知ってもらいたいとの思いからサイト紹介を行っているが、それにしても、改めてブックマークに登録しておいたサイトや、記憶をたどって昔訪れたサイトを探してみると、既に消失してしまっているという事が多々ある。

 1990年代後半から一般層に普及したインターネットは多くの役割を期待された。その一つに集合知という要素があった。インターネット環境さえあれば誰でも膨大な情報にアクセスでき、資料の入手性という観点からも、人間の知識的格差を埋め、人類全体を向上させる… そんな役割さえインターネットという新たな世界には期待が寄せられたものであった。インターネットにアップロードした情報は半永久的に存在し、簡単に消すことはできないという事は、匿名掲示板や近年のSNSでの炎上において戒めのように語られることもある。しかし、実際はどうだろうか。多くの人々の興味を惹く情報のみが取り沙汰され、それのみが情報の価値の絶対的な指標となってしまい、その指標から外れた情報は隅へと追いやられ、いつしか消え去ってしまう。インターネット上の様々なサイト作成サービスも慈善事業ではない。資本主義なサービスの利益性というものに基づき価値判断がなされ、その価値が低くなりつつあると認識されれば、サービスそのものが終了してしまい、それに伴い膨大な情報が消失してしまう。ややネガティブに捉えた言い方になってしまうかもしれないが、日々失われゆく価値ある情報、あるいは価値が無くとも、多くの情報そのものを保全するべきであるという考えである筆者の立場からすると、このような現在のインターネットの構造というものには、悲観的な考えを持たざるを得ないのだ。
 インターネットに日々流入する情報は今日をもってしても日々を追う毎にますます増え続けているそうであるし、この先の技術発展によって情報の総量は指数関数的にますます増加していくだろう。しかし、洪水のように情報が流れ込むことは、古い情報がますます隅へと追いやられてしまうことにも繋がる。今日、そして未来のインターネットの在り方というものは、かつて期待された集合知という役割というよりは、情報の大量生産大量消費の場という形になりつつあるのではないか。これからますます、Yahooジオシティーズ閉鎖のような、サービス終了による情報の大量消失という事は起こり得るであろう。その際に失われ、あるいは永久に取り戻すことのできない情報というものは、大袈裟な言い方をすれば、インターネット全体、人類全体の損失ではないだろうか。
 インターネットの発明は1969年であるが、パソコン通信という形で一般人にも利用可能になった1980年代後半から考えると、インターネットとは少なく見積もっても既に30年ほどの歳月を歩んできたことになる。インターネットとは既にそれ独自の歴史を形作りつつあり、インターネットそのものの歴史研究という視点から見ても、あるいはかつて期待された集合知という点からしても、情報というものを何らかの基準をもって評価した価値のあるなしに関わらず保全する仕組みを作る事が重要なのではないだろうか。ある時は価値のない情報として切り捨てられていたものが、ある時には価値が認められるという事はままあることである。資本主義的に運営されるインターネットから、図書館のような存在のインターネットへ、願わくばインターネットの集合知という理念は、今再び掲げられて欲しいと思う。
 


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voiceofdrone at 17:10│Comments(0)エッセイ 

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